網膜光凝固術・レーザー治療とは?
網膜光凝固術は、レーザー装置を用い、特定の波長のレーザー光で病的な網膜を凝固させることにより、病気の進行を抑えます。主に、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜裂孔、網膜剥離、網膜変性、網膜出血、網膜動脈瘤などの病気で適応となります。通常5分から10分程度の治療です。他の目の手術とは異なり、術後の生活制限などはありません。
レーザーの治療方法
2.診察
3.レーザー治療は、眼科で使用する治療台にお顔をのせていただき、目の上にコンタクトレンズをのせて、治療します。通常5分から10分程度の治療です。 レーザー照射中、一時的なまぶしさと目の奥に鈍痛を感じます。これは、目の奥で熱が発生することによるもので、これにより網膜の新生血管を予防したり、網膜剥離の場合は網膜が接着され、治療効果が生まれます。
4.治療後は、体調など確認後に少しお休みいただき、ご帰宅可能です。
レーザー後の注意事項
◇当日は、車の運転はできません。
◇目の奥の鈍痛が、数時間から長くて2-3日感じる場合ありますが、徐々に治まります。
◇食事・入浴・運動など、日常生活の制限は特にありません。治療直後から可能です。
術後診察
適応疾患~糖尿病網膜症(DMR)
糖尿病網膜症では、糖尿病により血糖値が上昇することで、血管が脆くなり、網膜出血、網膜白斑などを生じ、悪化すると無血管領域(網膜の血流が途絶え酸素不足になっている領域)が発生します。その無血管領域は、放置しておくと新生血管(脆くて大出血を起こしうる血管)が発生する温床になります。
無血管領域ができてしまった場合には、レーザー治療を行うことにより、網膜の虚血や低酸素の状態を改善し、新生血管の発生を予防できます。この治療は、あくまで網膜症の病勢を抑え、失明を予防することが目的で、視力を回復させるものではありません。
無血管領域から新生血管が発生し、硝子体出血となった場合、治療は硝子体手術となります。出血が少なくレーザー光が網膜に届く程度であれば、レーザー治療を繰り返すことで、硝子体出血を止めることも可能となる場合があります。
適応疾患~網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)
網膜中心静脈閉塞症(CRVO)や網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)は、目の奥にある、網膜の動脈と静脈の交差部などに生じ、静脈の分岐部または主管部が血管閉塞を起こし、網膜出血と無血管野が生じます。レーザー治療により、無血管領域からの新生血管の発生を予防します。この治療は、あくまで網膜症の病勢を抑え、失明を予防することが目的で、視力を回復させるものではありません。
適応疾患~網膜裂孔・裂孔原性網膜剥離
飛蚊症が発症した時に生じうる網膜裂孔(網膜に開いた穴)は、そのままにしておくと、そこから網膜下に水が入りこんで網膜が剥がれ、網膜剥離になる危険があります。
網膜剥離になる前に、網膜裂孔の状態のうちに、その穴の周りをレーザーで焼き固めることが必要です。飛蚊症の症状を治す治療ではありませんが、網膜剥離を予防する重要な治療です。外来で当日に10分程度で完了できます。


