近視とは、屈折異常の一種で、目に入ってきた映像が網膜より手前で結ばれてしまう状態です。近視では、一般的に近くのものが見えますが、遠くは、眼鏡やコンタクトレンズ等での矯正が必要になります。現在、近視の罹患率は、50年前に20%程度だったものが、現在は40%以上と大幅に増大傾向です。小児期にこの近視の進行を抑えるために、近年、低濃度アトロピン点眼の有用性が報告されています。

近視の原因

近視は、眼球の長さ(眼軸長)と、角膜・水晶体の屈折力に依存します。眼軸が長くなる原因としては、遺伝因子と環境因子の2つがあり、環境因子として、遠視性デフォーカス(より近くを見ることの繰り返し刺激)や屋内での暗い場所での近見作業、バイオレットライト(紫色の光)の関連などが報告されています。

  • ☆近視の原因
  • 1.眼軸の延長
  • 2.水晶体・角膜の屈折異常

現代人に多い仮性近視とは?

眼の中のレンズ、水晶体は厚みを変えることによってピントの合う位置を変える「調節」を行っています。近くを見るときには毛様体筋を収縮させ、 水晶体が厚くなり近くにピントを合わせます。近くのものを見続けたり、パソコン等のモニターを長時間見ていると毛様体筋に強い緊張が生じたり、けいれん状態になることによって、調節痙攣(仮性近視)が起こります。この状態が長く続くと、近くに調節が固まったままとなり、遠方の裸眼視力の低下、眼精疲労、頭痛・肩こりなどの不定愁訴の原因となることがあります。

近視と視野異常

近視が強い場合、網膜が引き延ばされ、網膜の神経線維層も菲薄化します。それにより視野異常をきたす場合があります。

近視性脈絡膜新生血管

網膜の外側にある脈絡膜から、網膜色素上皮に異常な血管が生えることを脈絡膜新生血管と呼び、近視が基にある場合を近視性脈絡膜新生血管(CNV)と呼びます。脈絡膜新生血管は、正常な血管とは異なり脆く、血液の成分が漏れたり、出血を起こしたりして、視力低下を来たします。

近視の進行予防

1.点眼薬(ミドリンM・低濃度アトロピン)

ミドリンMや低濃度サイプレジン点眼などの調節麻痺薬は、毛様体筋の緊張状態を取り去り、筋肉が弛緩して水晶体が伸びるようになり、仮性近視の症状を抑えることができます。最近では低濃度アトロピン点眼が、副作用を最小限にして、かつ近視進行抑制効果が得られることが海外の論文で報告されていて、現在日本の大学でも臨床試験が始まっています。当院では、自費診療により、近視進行抑制薬(マイピオピン点眼薬)を処方しております。

2.屋外環境眼鏡と照明

毎日 2 時間以上の屋外活動をすることにより、近視発症率を下げられることがわかってきました。屋外 と類似の環境を得られる眼鏡と照明を室内で使用することによって、近視抑制効果が得られると考えられています。