ドライアイとは?

ドライアイとは、涙の分泌量が減下したり、涙の質が低下することによって、眼の表面において涙液が安定しない状態をいいます。現在、ドライアイの人口は、800~2200万人といわれ、特にパソコンなどを多用するオフィスワーカーの方などに多く、年々増加傾向にあります。

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涙の産生と排出

涙は、涙腺という眼球の外上側にある組織で産生され、瞬き(まばたき)で目の表面に行き渡ります。瞬きは、約10秒間に1回に行われ、眼球と瞼の角に貯留した涙液は、瞬きの際に黒目全体に行きわたります。

大半は、目頭にある涙点という小さい穴から鼻の奥に排出され、一部は目の表面から蒸発します。

涙の構造

涙は、眼の表面において、油層、水層、ムチン層という3層から成り立っています。ドライアイでは、涙の分泌量が減ったり(涙液の低下)、涙の状態が不安定になり涙が蒸発しやすくなったり(涙の成分の異常)して、眼の乾燥による様々な症状を引き起こし、眼表面に傷がつきやすくなります(角膜上皮障害)。ひどい場合には角膜びらんや角膜潰瘍などの原因にもなります。

ドライアイの症状

目の乾燥感だけでなく、異物感・目の痛み・まぶしさ・目の疲れなど、多彩な目の不快感を生じます。眼表面の傷により視力の低下も起こりえます。

ドライアイのチェック項目

下記の項目が2つ以上あてはまる場合はドライアイが疑われます。

  • 目が疲れる・しょぼしょぼする
  • 目が乾いた感じがする
  • ものがかすんで見える
  • 目に不快感がある・異物感がある
  • 目が痛い・ごろごろする
  • 目が赤い・充血
  • 目が重たい感じがする
  • 涙が出る
  • 目がかゆい・表面がパサパサする
  • 光を見るとまぶしい
  • 目がごろごろする
  • めやにが多い

ドライアイの原因

加齢による涙の分泌量や質が低下、パソコン、スマートフォンなど、モニターを見つめる作業による瞬きの減少、冬の季節などに多い空気の乾燥、暖房などのエアコン・空調、ソフトコンタクトレンズ装用者、タバコの煙、などが挙げられます。

マイボーム腺機能不全(MGD)とドライアイ

眼瞼の縁にマイボーム腺という脂を出す部位があります。加齢に伴ってマイボーム腺が詰まり、涙にとって重要な脂が出にくくなります。涙液中の脂の成分が減少すると、目の表面における涙液の安定性が悪くなり、ドライアイの症状を引き起こします。

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結膜弛緩症とドライアイ

加齢に伴って、結膜部分(白目の部分)が弛み、眼表面で涙が留めにくくなります。また、弛んだ結膜が瞼と触れやすくなり、摩擦によって眼表面に傷がつきやすくなります。

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全身疾患とドライアイ

シェーグレン症候群―涙腺、唾液腺に対する自己免疫疾患では、強いドライアイを生じることがしばしばみられます。眼表面の傷の量も多く、視力低下を来します。

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流涙症(なみだが多い・あふれる)

涙液は、涙点から排出されますが、主に加齢などにより涙点からの排出が悪くなることがあります。流涙症では、冬場に外の空気に触れると涙がこぼれるなどの症状を呈します。

また涙が多くても、ドライアイ様の症状がでることがあります。これは、涙が黒目の上で安定しないために起こります。

ドライアイの検査

当院ではドライアイ診断基準に照らして診断していきます。また、いずれの検査も外来で行われ比較的短時間で終わり、強い痛みなどは感じません。

フルオレセイン染色試験

染色液を眼の表面につけ、涙の安定性・表面の傷の状態などを調べます。

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シルマー試験

専門のろ紙を瞼の縁にはさんで、5分間でどのくらいの長さが濡れるかを調べる検査です。

涙液層破壊時間(BUT)検査

瞬きをしないで目を開けたままにして、涙の層がどのくらいの時間で乱れるかを調べる検査です。正常値は約5秒以上で、5秒以内の方はBUT短縮型ドライアイと診断されます。

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ドライアイの治療

ドライアイ点眼薬

症状が軽い場合は、目の表面に潤いを持たせる点眼薬で、症状を緩和させることができます。人工涙液、ヒアルロン酸製剤、ムチンや水分を分泌促進する点眼薬(ジクアホソルナトリウム)、ムチンを産生する点眼薬(レパミピド)が用いられます。

涙点プラグ

重度のドライアイでは、涙の出口である涙点に栓(涙点プラグ)をして、涙の生理的な排出を人為的に遮断するような治療を行うこともあります。

温罨法(おんあんぽう)

眼のまわりを温めることで、マイボーム腺からの脂やムチンの排出を良くし、涙液を安定化させる作用があります。マイボーム腺機能不全(MGD)の治療になりますが、ドライアイ症状にも効果があります。

悪化要因の除去

  • 長時間のモニター作業や運転では、瞬きの回数が減るのでドライアイ症状を悪化させます。適度の休みを取ることがドライアイ症状改善には重要です。
  • コンタクトレンズ装用が原因の場合には、装用時間を減らすことも重要です。
  • 目の保湿を図るために、加湿器を用いたり、エアコンの設定を変えるなども有効です。
  • 市販のドライアイ専用眼鏡の使用や眼鏡の周りに覆いを付けることも目の周りの湿度を上げるのに有効です。
  • 目を温めることも目の疲れをとることに有効だといわれています。(温罨法)