網膜光凝固術は、レーザー装置を用い、特定の波長のレーザー光で病的な網膜を凝固させることにより、病気の進行を抑えます。
糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症
糖尿病網膜症、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)が対象疾患になります。糖尿病網膜症により発生した無血管領域(網膜の血流が途絶え酸素不足になっている領域)は、放置しておくと新生血管(脆くて大出血を起こしうる血管)が発生する温床になります。
無血管領域ができてしまった場合には、事前にレーザー治療を行うことにより、網膜の虚血や低酸素の状態を改善し、新生血管の発生を予防できます。
網膜中心静脈閉塞症(CRVO)や網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)もほぼ同様の作用機序になります。これらの治療は、あくまでも網膜症の病勢を抑え、失明を予防することが目的で、視力を回復させるものではありません。
網膜裂孔
飛蚊症が発症した時に生じうる網膜裂孔(網膜に開いた穴)は、そのままにしておくと、そこから網膜下に水が入りこんで網膜が剥がれ、網膜剥離になる危険があります。
網膜剥離になる前に、網膜裂孔の状態のうちに、その穴の周りをレーザーで焼き固めることが必要です。飛蚊症の症状を治す治療ではありませんが、網膜剥離を予防する重要な治療です。外来で当日に10分程度で完了できます。
注意事項
レーザー後は、散瞳薬により調節力が麻痺した状態(ぼんやり見える)が4-5時間続きます。当日は、車の運転はできません。