小児期は、視力が大きく発達する、目の成長にとって最も重要な時期です。視力が完成し、大人と同程度に見えるようになるのは10歳頃と言われています。視力が発達途上の時期に、眼にトラブルが生じると、視力がうまく発達せず、成人になっても、視力が出なくなる場合があり、注意が必要です。

小児眼科 チェック項目

  • 目をよくこする・触る
  • 目をしかめる
  • 顔を傾けたり、横目で物を見る
  • 見えにくそうにする
  • 白目が充血している
  • 目ヤニが多い
  • 目がしょぼしょぼして、しっかり開けていられない
  • まぶたの異常(腫れた、ピクピクするなど) など

学校検診後の視力異常

学校検診での視力検査は、裸眼もしくは持参の眼鏡下で、簡易的に0.3・0.7・1.0の視標で視力を確かめ、A,B,C,Dの4段階で判定します。眼科では、矯正レンズを使用し、度数の異常(屈折異常)だけなのか、その他に目の病気が隠れていないかを診断していきます。
眼の病気がないと判断された場合、A~B判定程度の視力では、様子を見ることが多いですが、C~D判定程度では、視力が0.7未満ですので、席によっては黒板の文字が見えにくく、メガネが必要になる場合があります。また、学校健診で、眼位異常(眼の位置のズレ)が見つかることがあります。

小児の近視

小児のメガネ処方

当院では、初めてメガネを作られるお子さんをサポートいたします。近視予防にも対応しており、ご希望の方には、低濃度アトロピン点眼(マイオピン)の処方も可能です。また、斜視、弱視などがあると治療法も異なるため、それらの異常がないかどうか、先に診察した上で処方していきます。
小児では、成人のメガネの作成手順と異なります。度数を機械で測定する際、通常の状態では、近くに調節をかける力が加わってしまうため、正確な度数が測れず、本来の度数と大きく異なったメガネが作られてしまいます。正確な度数を合わせるための特殊な点眼薬を使用して度数を測定します。

小児のメガネ処方の流れ

1.調節麻痺下屈折度数検査

調節麻痺薬という調節力を麻痺させる点眼をします。点眼が効いてきたら、機械により正確な度数を測ります。検査当日は、瞳孔が通常の状態に戻るまで、数時間のあいだ、ぼやけたりまぶしく見えます。

2.メガネ調整

翌日以降に来院していただき、通常の瞳孔の状態で、度数にあったテストレンズをかけて体感していただきます。ゆがみ・ふらつき・疲れ等が出ないよう微調整を行い、処方箋交付となります。

斜視

斜視とは、物を見るときに、片方の眼が他を向いてしまっている状態です。疲れたときや意識していないときのみ眼の位置が外れるものは間欠性斜視といいます。内斜視、外斜視・上下斜視などがあり、診察にて優位眼・交代視・斜視角・ずれる頻度・屈折異常・脳疾患などが隠れていないを確認していきます。斜視の手術が必要な場合は、専門治療のできる病院をご紹介致します。

1.間欠性外斜視

外斜視とは片方の目が外にズレている状態ですが、間欠性外斜視は、常に斜視になっているわけではなく、まっすぐ普通の目線になっているとき(外斜視)と正位にもどっているとき(斜位)がある状態です。正面で見ている時間があるため、視力や立体視にはほとんどの場合問題ありません。早期に手術の必要はありませんが、外れる時間が長い場合は手術適応になる場合もあります。

2.乳児内斜視

先天的に眼の向きが内向きになっている先天性内斜視があり、特に生後6か月以内に発症する場合乳児内斜視と呼びます。立体視の発達は2歳までとされているため、見つかった場合には早期に手術の適応になります。

3.調節性内斜視

遠視の存在により内斜視になる状態を調節性内斜視と呼びます。遠視の矯正をすることで、斜視が治る場合があります。

4.恒常性外斜視

常に眼位が外側で、正位に戻らない場合をいいます。この場合、視力や立体視に影響をきたす可能性があり、手術適応となります。

5.後天性内斜視

後天的に内斜視が出てくる場合で、複視の症状が出ることが多いです。脳を含め原因精査が必要になります。

6.下斜筋過動

生まれつき下斜筋(目を上に向ける筋肉)の力が上斜筋(目を下に向ける筋肉)よりも強いことがあり、この場合は、眼球が上を向いてしまいます。これを「下斜筋過動」といいます。眼球の上向き状態(上転)は、特に内を向いたときに目立ちます。下斜筋過動は単独でも見られますが、多くは他の斜視に合併しています。両眼視に影響する場合や美容的な問題があれば手術をすることがあります。

弱視

弱視とは、視力の成長期に何らかの原因により成長を妨げられ、視力がでない状態をいいます。原因は、

1.屈折異常弱視

遠視・乱視・近視が強く、正常な像が網膜上に結ばれず視覚が成長しない。

2.不同視弱視

右眼と左眼の度数が大きく違うことで、片目を使わなくなり視覚が成長しない。

3.斜視弱視

斜視があり片目が他を向き使わなくなり視覚が成長しない。

4・形態覚遮断弱視

白内障や瞼の異常により片目に光刺激が入らず視覚が成長しない。

5.微小斜視弱視

気づかないほどの小さな目の位置のずれがあり、片目を使わなくなり視覚が成長しない

などが挙げられます。できるだけ早い時期にしっかりと診断し、治療を開始することが大切です。

色覚異常

色覚異常とは、正常者にとって色の差が大きく違って見える2つの色が、判別困難になることです。原因としては、色を感じる3つの細胞「赤錐体」「緑錐体」「青錐体」のどれかが欠けていたり、十分に機能していないことが考えられます。

色覚異常には、先天色覚異常と後天色覚異常があります。先天色覚異常は日本人男性の20人に1人(5%)、日本人女性の500人に1人(0.2%)といわれています。特に先天色覚異常は自覚しにくい場合が多いため、まずは検査を受けて色覚異常かどうかを知り正しく理解することが大切です。早期発見し、症状に合った生活上の対処を行うことで、安心安全な生活を営むことが可能です。

検査法

当院では、下記の2種類の検査を用意しています。

石原表

世界的にも広く使われている表で、検出(正常か異常かの区別)の効率がよく、簡単に分かります。読めなかったりたいへん苦労しないと読めない方は色覚異常の可能性が高いということになります。 精密検査をお受けになることをお勧めします。

パネルD15

赤、橙、黄、黄緑、緑、緑青、青紫、紫、と少しずつ色が変わってまたもとの赤になることはご存知でしょうか。これを色相環といいます。この色相環に沿って少しずつ色の違ったいくつかの色票をばらばらの状態から、順々に並べてもらう検査で、パネルD-15テストといいます。

色覚異常の方でも程度が軽ければ正しく並べることができます。ですから正常と異常とを区別する検査ではなく、異常の程度を知る検査として重要視されています。

仮性近視

仮性近視とは、現代人に多い疾患で、長時間のゲームやスマホなどの近方視により、ピントが近くに調節されたまま固まり、視力が低下してしまう状態をいいます。処方する点眼により、症状が改善する場合があります。当院「仮性近視」ページへのリンク

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