眼科でのメガネ処方
眼科では、単に度数を合わせるだけでなく、背後に隠れた疾患などがないかも確認したうえで、眼鏡の処方箋を発行します。当院では、視能訓練士(ORT)により、一般的な眼鏡処方だけでなく、小児の斜視・弱視、プリズム眼鏡などの検査も行なっております。
近視、遠視、乱視とは?
1.近視
近視とは、映像が網膜の手前で焦点を結んでしまう状態で、近くの物体を見るときにはピントが合いますが、遠くの物体はピントが合わずぼやけて見えます。
2.遠視
遠視とは、映像が網膜の後方で焦点を結んでしまう状態で、遠くの物体を見るときには調節力が働く範囲で見えますが、近いところでは調節力が不足し見えません。老眼が進むと、調節力が衰えるため、近くだけでなく遠くまで見えづらくなってきます。
3.乱視
乱視とは、角膜や水晶体の表面に歪みが生じるために、網膜面に焦点が合わない状態です。正乱視と不正乱視があり、正乱視には、直乱視、倒乱視、斜乱視があります。
直乱視:横向きのラグビーボールのように上下が押し潰された形になっているタイプで、垂直の線がはっきり見えるものの、水平の線はぼやけて見えます。
倒乱視:左右が押し潰された縦長の形になっているタイプで、水平の線ははっきり見えるものの垂直の線は見えにくいです。
斜乱視:角膜や水晶体が斜めになっているタイプで、斜めの線が見えやすく、その線に直角に交わっている線が見えにくいです。
成人のメガネ処方
当院では、患者様の生活状況などに合わせ、適切なメガネの処方ができるよう心がけております。
単に度数を測るだけでなく、視力低下の原因となる病気が隠れていないかを診察してから、メガネの処方箋を発行しております。メガネをかければ見えるようになると思っていた方の中に、白内障や眼底疾患などの病気が見つかることがあります。
また、眼精疲労や調節けいれん、スマホ老眼などの症状が疑われる場合は、先に点眼治療を行う場合もあります。
単焦点レンズ
近視、遠視、乱視に対応したレンズです。
下記の特徴をお持ちの方は、特殊な調整が必要になります。
- 強度近視
- 強度遠視
- 不同視(左右差が+2.0D以上の場合)
- 左右で遠視・近視が異なる場合
- 強度乱視(+2.0D以上)
- 弱視
- 片目の矯正視力が著しく低い場合
- 白内障手術後の眼内レンズ挿入眼
遠近(中近/近々)両用レンズ
遠近両用レンズは、レンズの上部分と下部分で良く見えるところが違うレンズが入っていて、視線を上下に動かすことで、遠くも近くも見ることができます。遠近・中近(近々)にピントが合うため、メガネのかけ外しの必要がありません。老眼、白内障術後など、調節力が低い場合に有用です。
累進多焦点レンズ:目線を下に落とすと近くがよく見え、視線を上げるごとに遠くを見られる作りになっています。そのため、近距離の手元と中距離のパソコンを交互に見るような、デスクワークに最適のレンズです。現在は遠近といえば、このタイプのレンズが主流です。見え方に慣れるため、長時間かけていることが推奨されています。
プリズムメガネ処方
眼位のずれ(斜視)がある場合に処方します。
小児のメガネ処方
当院では、初めてメガネを作られるお子さんをサポートいたします。近視予防にも対応しており、ご希望の方には、低濃度アトロピン点眼(マイオピン)の処方も可能です。また、斜視、弱視などがあると治療法も異なるため、それらの異常がないかどうか、先に診察した上で処方していきます。
小児では、成人のメガネの作成手順と異なります。度数を機械で測定する際、通常の状態では、近くに調節をかける力が加わってしまうため、正確な度数が測れず、本来の度数と大きく異なったメガネが作られてしまいます。正確な度数を合わせるための特殊な点眼薬を使用して度数を測定します。
小児のメガネ処方の流れ
1.調節麻痺下屈折度数検査
調節麻痺薬という調節力を麻痺させる点眼をします。点眼が効いてきたら、機械により正確な度数を測ります。検査当日は、瞳孔が通常の状態に戻るまで、数時間のあいだ、ぼやけたりまぶしく見えます。
2.メガネ調整
翌日以降に来院していただき、通常の瞳孔の状態で、度数にあったテストレンズをかけて体感していただきます。ゆがみ・ふらつき・疲れ等が出ないよう微調整を行い、処方箋交付となります。