眼内レンズについて

白内障手術では、目の中にある混濁した水晶体を摘出し、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。

眼内レンズの度数は、手術前に事前にご相談の上、決定していきます。通常、保険診療で扱うレンズは、単焦点レンズとなり、最も一般的に使用されています。単焦点レンズは、眼内レンズの中で、最も鮮明に見えるレンズで、ピントは1か所のみに合います。そのため、手術前にピントの位置を、「遠方」、「中間」、「近方」の中からご希望の位置にあらかじめ設定します。

当院で扱う保険適応の眼内レンズ

TECNIS®OptiBlue®IOL(テクニスオプティブルー)

  1. 一般的に使用されている単焦点レンズ
  2. 焦点を一か所に集中させるため、鮮明に見える
  3. ピントの位置は「遠く」「中間」「近く」のどれか1か所
  4. それ以外の位置では、眼鏡が必要。
  5. 眼鏡を使用することに抵抗がなく、よりクリアに見たい方に適する。

TECNIS EYHANCE™ IOL(テクニスアイハンス)

  1. 特殊な構造により、従来の単焦点レンズより見える範囲を広げたレンズ
  2. 遠くははっきり見たいが、中間あたりも多少の見やすさを求める方に適する。
  3. 焦点を1か所に集中させる単焦点レンズよりは見え方の質は低下する。
  4. 保険適応レンズであり、費用負担が少ない。
  5. 比較的若年者に適応しやすい

EYHANCE™ IOL TORICⅡ(テクニスアイハンス乱視用)

  1. 上記の特長に加え、乱視を軽減することができる

多焦点レンズとは?

通常保険診療で使用するレンズは、焦点距離が一点に合うのに比べ、多焦点レンズは、遠から中間、近方まで、ピントが合うレンズとなり、眼鏡を使用する頻度を低減できます。費用は、手術料金に該当する部分は保険適応となりますが、レンズの費用は別途かかります。詳しくはこちらをご覧ください。
見え方のメリットは大きいものの、白内障以外の眼の疾患がある場合は適応にならない点、夜間の光の散乱や鮮明さの低下などデメリットも含まれるレンズのため、慎重に選択する必要があります。

単焦点レンズと多焦点レンズの見え方の違い

1.単焦点レンズ

遠くに合わせた場合。
近くは眼鏡が必要。
近くに合わせた場合は遠用の眼鏡が必要。

2.多焦点レンズ

見える距離は遠中近の視力が期待できる。
スポーツや趣味で眼鏡を使う頻度が低減。
単焦点
(保険)
多焦点(自費)
単焦点 焦点深度
拡張型
(EDOF)
3焦点
遠方
近方 ×
(中間まで)
ハロー・グレア
(異常光視症・夜間光視症)
なし なし~△ あり
コントラスト感度低下 なし なし~△ あり

当院で使用する多焦点眼内レンズ(選定療養)

クラレオンパンオプティクス(Clareon PanOptix)回折型3焦点レンズ

  1. 遠方、中間(約60cm)、近方(約40㎝)の3焦点にピントが合う
  2. 夜間の光の滲みがある。
  3. 見え方の質(コントラスト感度)の低下
  4. 夜間の運転する方や、はっきりと見たい方には不適。
  5. 乱視矯正あり

クラレオンビビティ(Clareon Vivity)焦点深度拡張型(EDOF)レンズ

  1. 遠方〜中間(50㎝程度まで)にピントが合う
  2. 近方は3焦点レンズに比べ弱く、眼鏡が必要になる
  3. 夜間の光の滲み(グレア・ハロー)、コントラストの低下が大幅に軽減
  4. 乱視矯正あり

テクニスオデッセイ(TECNIS Odyssey)回折型3焦点レンズ

  1. 遠方、中間(約60cm)、近方(約40㎝)の3焦点にピントが合う
  2. 夜間の光の滲みがある。
  3. 見え方の質(コントラスト感度)の低下
  4. 夜間の運転する方や、はっきりと見たい方には不適。
  5. 乱視矯正あり

テクニスピュアシー(TECNIS PureSee)焦点深度拡張型(EDOF)レンズ

  1. 遠方〜中間(50㎝程度まで)にピントが合う
  2. 近方は3焦点レンズに比べ弱く、眼鏡が必要になる
  3. 夜間の光の滲み(グレア・ハロー)、コントラストの低下が大幅に軽減
  4. 乱視矯正あり