緑内障とは、目の内圧である眼圧が上がることなどにより、目の奥の視神経が障害され、視野が欠けてしまう病気です。緑内障の初期では、自覚症状がないことが多く、気づいた頃には大きく進行した状態で見つかることも少なくありません。将来的に視機能を維持するため、早期発見、早期治療が非常に重要となってきます。
緑内障の症状
緑内障の症状は、一部の視野が見えづらい、欠ける、もやが見える、かすむなどがあります。進行例では、視野の大部分がかすむ、ぼやける、視力低下などです。通常、人は両目で物を見ており、もう片方の目でカバーしてしまうため、片眼に見えない部分があっても、視野の異常に気づかないことも多いです。また、病気の進行は緩やかなので、変化に気づきにくく、視野・視力が悪化してから自覚することも多いです。
緑内障のセルフチェック
初期の緑内障では、上述にように症状はほとんどありません。また、中心部分は見えていることが大半であるため、チェックする際は、視点を固定し、周辺視野に異常がないかを確認する必要があります。片目を閉じて、中心部分を凝視していただき、周辺部分に欠けや歪みがないか確認してみましょう。
緑内障の検査
眼圧検査
眼圧を測定するための検査機器はいくつかの種類があります。眼に直接接触させて測定するゴールドマン圧平眼圧計(アプラネーション)や、眼に圧縮した空気を吹き込んで測る機械などがあります。それぞれの機器には長所短所があり、当院では両方の検査が可能です。
視野検査
見える範囲を調べる検査です。機械の前に座っていただき、小さな光が見えるか見えないかでボタンを押す、「自覚的な」見え方を測る検査法です。検査時間は15分程度です。緑内障の以前の状況との変化を見たり、緑内障の進行具合を比較し判断する重要な検査です。
眼底検査
視神経の障害の程度を判定するために行う検査です。健康診断などで「視神経乳頭陥凹拡大」などと判定されます。眼底検査は少しまぶしいことはありますが、痛みなどはありません。最近では、光干渉断層計(OCT)などの三次元画像解析装置を用いて視神経乳頭や網膜の神経線維の厚みを測ることにより、緑内障をより適確に診断できることが増えています。また下述の前視野緑内障における診断にも優れた検査です。
緑内障の分類
正常眼圧緑内障
眼の内圧である「眼圧」は、正常値が10~21mmHg程度とされ、眼圧値が高くなる一般的な「緑内障」と、眼圧値が21mmHg未満でも緑内障の症状を呈する「正常眼圧緑内障」に分類されます。
開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障
眼の中は、房水という水が循環しており、隅角という部分から水が排出されます。隅角が広く開いており、水が正常に排出される場合を開放隅角といいます。閉塞隅角では、隅角が正常の方よりも狭く排出されにくい状態となっています。房水の排出が悪いと、眼圧が上昇し、眼圧が急上昇します。これを、急性緑内障発作といいます。発作を起こすと眼圧の正常値(10~21mmHg)が50mmHg以上となることがあり、眼痛・めまい・吐き気などを引き起こし、放置すると数日で失明する場合もあります。閉塞隅角の方は、発作予防にレーザー治療、水晶体摘出術(白内障手術と同じ)などが推奨されています。
前視野緑内障
眼底検査において視神経乳頭の異常を示唆する所見がありながら、視野検査で視野欠損を認めない状態をいいます。前視野緑内障では、将来的に視野欠損を来す可能性があるため、定期的に診察と検査を受けるとよいでしょう。
視神経乳頭陥凹とは?
健康診断や人間ドックなどでよく使用される単語です。眼に入ってきた光の情報は、網膜が光刺激として受け取り、神経として束ねられて脳に情報を伝えることで視覚として認識します。視神経乳頭とは、眼の中の視神経の束が集まって、眼の外へ出ていく出口の部分に当たります。視神経乳頭には、通常、陥凹(へこみ)がありますが、形態的にその陥凹が大きくなると、緑内障になりやすいといわれています。陥凹が大きいと、視神経が菲薄化(うすく)なって、視神経が障害されていることが多いためです。健康診断や人間ドックなどで指摘される視神経乳頭の陥凹拡大とは、「緑内障の疑い」があることを意味しています。
特殊な緑内障
ステロイド緑内障
呼吸器疾患、膠原病、皮膚疾患などで、ステロイドを長期使用中の方で発症することがあります。
続発性緑内障
眼底出血やぶどう膜炎など、他の目の病気があり、それにより眼圧が上昇し、緑内障の症状を呈する場合があります。
急性緑内障発作
上で述べた閉塞隅角のほか、糖尿病網膜症が悪化した状態やPosner Schlossmann症候群などといった疾患により、眼圧が50mmHgを超えるような状態をいい、緊急度の高い疾患です。診断後は早急な点滴治療、レーザー治療や緊急手術となりますので、即座に総合病院へ搬送となります。
近視と緑内障
緑内障とは、視野が欠ける病気ですが、病的近視(強度近視)により網膜が菲薄化(うすくなり)視野が欠けてしまう状態があります。これは、緑内障、特に正常眼圧緑内障との鑑別が難しくなります。経過観察していくなかで、視野の異常が進行していく場合には、緑内障の点眼治療が必要となることがあります。
緑内障の治療
緑内障の点眼治療
点眼薬により治療は、緑内障の基本となります。緑内障点眼は、数種類あり、緑内障のタイプ、眼圧の状態、視野検査の結果、全身疾患の既往歴などにより、選択していきます。1種類の点眼薬でも、緑内障の進行が抑えきれず、悪化していってしまう場合は、点眼薬の種類を増やしていきます。また、緑内障点眼薬は、アレルギーや角膜上皮障害などの副作用をおこ場合があり、定期的な診察が必須になります。
緑内障のレーザー治療(選択的線維柱帯形成術:SLT)
レーザー光線により隅角にある線維柱帯に小さな穴をあけ、眼内を循環している房水の排出を助け、眼圧をさげる治療です。治療は、痛みをほとんど感じることはなく、10分程度で終了します。他に、閉塞隅角により眼圧が上がりやすい状態になっている場合には、虹彩(茶目)に1か所穴をあけ、急な眼圧上昇を防ぐという治療があります。
緑内障の手術
緑内障の手術は、点眼治療やレーザー治療でコントロールがつかない場合に行います。一般的には、手術により、術後の改善を期待する方もいるかもしれませんが、残念ながら緑内障の場合は、手術で見え方をよくすることはできません。
緑内障の予防
点眼治療・定期診察
規則的な点眼、日常において忘れないことが最も大切です。
運動
運動により多少の眼圧下降効果があったとの報告があります。
健康食品
現在、医学的に実証されている(エビデンスのある)食品などはありません。











